令和5年度 入学宣誓式 祝辞

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令和5年度 入学宣誓式 学長祝辞

 京都工芸繊維大学工芸科学部及び大学院工芸科学研究科に新たに加わることになった学生諸君、本学を代表して心より歓迎の意を表します。
 そして、3年に亘る足球比分直播,雷速体育感染症流行の中、様々な制約を受けながらも、皆さんは、本日こうして新たなステージに立たれました。まず、そのことに賛辞を贈り、お祝いを申し上げます。本日は、誠におめでとうございます。 

森迫清貴学長の祝辞

 この3年間の世界的な感染症によるパンデミックはどうやら治まってきましたが、地球温暖化問題、エネルギーや食糧問題、貧困格差問題など、国連総会が2030年までに求めた人類の持続可能な開発目標SDGsの達成はかなり困難なように思えます。21世紀に入って20年あまり、明らかに産業革命後の社会システムの価値体系を大きく変革しなければならない時期に入っています。
 
 そのような時代に、理工系の大学である本学が、将来の社会を見据えて、現在、どういう目的で研究教育を行ない、人材育成を行なっているのかをお話しておきます。本学学部から大学院に進まれた方は既にご存知だと思いますが、改めて確認して下さい。
 工芸科学部の「教育研究上の目的」は、「幅広い教養と高い倫理性を有し、自らの構想力と遂行力、リーダーシップによって、21世紀の産業、社会、文化に貢献できる国際的な理工科系高度専門技術者を養成すること」です。ここでいう理工科系高度専門技術者のことを本学では「TECH LEADER(テック?リーダー)」と呼んでいます。工芸科学研究科博士前期課程では、学部段階より高度な専門的知識?能力を有し、それらを柔軟に応用でき、かつ実践的な外国語運用能力を備えた人材の養成を目標としており、さらに博士後期課程では、創造性豊かな優れた研究?開発能力を有する人材、国際経験を有する人材の養成を目標としています。
 また、テック?リーダーとして有すべき知識、技術、人間としての根源的特性として4つの要素からなる「工繊コンピテンシー」を定めています。一つ目のコンピテンシーは、何と言っても皆さんの強みとなる各課程、各専攻の関係する「専門力」です。二つ目は「リーダーシップ」、三つ目が「外国語運用能力」、そして四つ目が「個の確立」です。各コンピテンシーについての具体的な内容及びそれらを培うための教育プログラムについては、工芸科学部、工芸科学研究科の履修要項に記載されています。この工繊コンピテンシーを身につけることがディプロマ?ポリシーすなわち学位授与の方針の基準になります。卒業あるいは修了に向けて、それらを常にチェックしておいてください。

 本学では、テック?リーダーを育成する教育研究活動の基盤として、「京都思考KYOTO Thinking」を謳っています。京都の文化は、技術と品質を備える匠のものづくりと信頼関係によって培われてきました。一方で、単に技を継承するだけでなく、イノベーティブな挑戦を続け、新しい価値を創造しようとする営みにより、日本のみならず海外の評価も獲得し、発展してきました。この京都の地が育んできた心意気と創造的挑戦心を、本学は「京都思考」と表しました。この「京都思考」を教育研究に活かし実践することで未来を担う人材を育成しようとしています。
 さらに、その上にたって大学のビジョンとなる三つのコンセプトを掲げています。
 一つ目は、ART×SCIENCEです。すなわち、未来を拓く夢?科学的空想?イノベーションのための飛躍につながるARTの発想と、緻密な分析、論理に基づき、これに具体的形を与えるSCIENCEを統合させ、新価値の創造を目指すというものです。二つ目は、LOCAL×GLOBALです。すなわち、質の高いものづくりと信用に支えられたLOCALで培われた〈京都思考〉に基づき、持続可能な世界的問題を解決するGLOBALな〈地球思考〉を併せ、新価値の創造を目指すというものです。そして三つ目が、TRADITION × INNOVATIONです。すなわち、歴史?文化TRADITION への深い造詣?共存と、それを基盤として磨かれた匠の技INNOVATIONを掛け合わせ、他に追随のできない信用ある新価値の創造を目指すというものです。
 京都が持つ知と技を活用して、教育研究を展開し、新たな価値創造による次世代の社会システムを構築することにより、地球と日本の未来に、人類が「平和で豊か」な美しい社会、「美」を育むことに貢献することが、本学の社会的使命であり、他大学にない特長です。

 教職員一同と在学生達は、新しい時代を切り拓くために果敢に挑戦しています。我々は、皆さんの新しい力を期待しています。皆さんもぜひ我々の取組みに加わっていただき、人類、世界にとってWell being な社会を実現するために共に頑張っていきましょう。
 本日は、誠におめでとうございます。

令和5年4月5日
京都工芸繊維大学長
森迫 清貴