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フェーズフィールド(phase-field)法は、最も強力なメゾスケール材料組織予測法として発展しています[1]。しかしながら、計算コストが高く、取り扱える領域が限定されることが課題でした。この課題を克服するために、東京工業大学のGPU (graphics processing unit)スパコンTSUBAMEを用いた大規模シミュレーションを可能として、大規模計算によってのみ達成可能なメゾスケール材料組織予測を行っています。単に計算規模が大きいだけではなく、分子動力学法とフェーズフィールド法を用いた新しい粒成長シミュレーション手法の構築、格子ボルツマン法とフェーズフィールド法を連成させた液相流動中でのデンドライト成長など、他には真似のできない大規模かつ独創的な研究を行っています。
図1 Al-Cu合金の一方向凝固シミュレーション[2]
温度勾配を変えて、デンドライトからセル形態までを再現し、いずれの凝固形態においても温度勾配方向の結晶方位を有する粒が優先的に成長し続けることを明らかにしました。
図2 数百個のデンドライトの落下シミュレーション[3]
表面で核生成した固相核がデンドライトへと成長し、固液密度差によって落下し、底に等軸堆積層を形成する過程を再現しました。
図3 2,5603格子300万初期結晶粒を用いた超大規模理想粒成長シミュレーション[4]
理想粒成長の統計的挙動を800GPU並列計算によって世界で初めて明らかにしました。
図4 100憶原子の超大規模MD凝固計算とそれに引き続くフェーズフィールド粒成長計算[5]
異なる手法のブリッジングシミュレーションは新しい試みです。
[1] T. Takaki, ISIJ International, 54 (2014) 437-444.
[2] T. Takaki, S. Sakane, M. Ohno, Y. Shibuta, T. Aoki, C.-A. Gandin, Materialia, 1 (2018) 104-113.
[3] Y. Shibuta, M. Ohno, T. Takaki, Advanced Theory and Simulations 1 (2018) 1800065.
[4] E. Miyoshi, T. Takaki, M. Ohno, Y. Shibuta, S. Sakane, T. Shimokawabe, T. Aoki, npj Computational Materials, 3 (2017) 25.
[5] Y. Shibuta, S. Sakane, E. Miyoshi, T. Takaki, M. Ohno, Modelling and Simulation in Materials Science and Engineering, 27 (2019) 054002.
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