所属 | 材料化学系 |
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氏名 | 辰巳 創一 |
期間 | 平成28年4月1日~平成29年3月23日 |
滞在先 |
イギリス ブリストル大学 |
1.教育活動の実施について
(講義、演習、実習、実験等の指導に関わる活動(研究室での指導を含む))
プログラムに先立ち,3月の中旬からブリストル大学物理学専攻のDr.Christopher Patrick (Paddy) Royall 研究室にて滞在しました.院生?ポスドクがあわせて10人近くいる研究室で,2週間に1回の研究室全体のディスカッションミーティングでは,議論をすると共に,研究について指導に関わることを主として行いました.滞在中の大きなイベントとしては,7月中旬にフランスのリオンであったStatPhys26と言う,統計物理の大きな国際会議に参加したこと,12月初旬にブリストル大学物理学科で行われているTheory Seminar にて発表を行ったこと.そして,2月下旬にCornwallであったInternational Softmatter conference にて発表を行ったことです. イギリスでは修士課程がほぼなく,博士課程と合わせても日本に比べて短いため,学生の入れ替わりは非常に激しいです.その中で学生とのDiscussionを主に行いました.特に,長く実際の物質を用いて実験をしてきた経験からアドバイスは有効に働いたと思います.
2.教育方法に関わる意見交換等の実施について
(学生への指導方法、シラバスの作成、カリキュラムの編成等に関する意見等の交換)
主として,物理学科所属の他の教授陣と毎日のランチタイムに意見交換を行いました.忙しい時はできない時もありましたが,それでも一年を通していろいろなことが聞けたと思います.イギリスの教育システムについて話をした時には,もっとも大事なことはイギリスのは決して見習わないことだ,というコメントをしばしばもらったのは少し面白かったですが,それはイギリス特有のUnderestimate(謙遜),なのかもしれません. とはいえ,イギリスの教育システムにも問題はあるのは事実で,その一番大きな要因は20年ほど前に始まった教育費の大減額のようです.現在では基本的には政府からの補助は一切無いようで,実際に運営に必要な費用は学費と研究費などの外部資金に頼っているようです.特徴的なのは学費に関わることで,日本と違い,学生数への制限が緩い,もしくはほぼ無いことです.従って,多くのイギリスの大学は学生数を劇的に増やす,具体的には20年前に比べ,学生数を倍増させることで必要な費用を補っているようです. このようなことを可能にしたのは,英語を母国語としてるが故なのでしょうが留学生の数の圧倒的な増加です.以前はほとんどイギリス人だけだったのが,現在では諸外国より多くの留学生が集まっており,それがある種の強みを与えているようにも見えました.大学経営という意味でも,留学生は研究費を一緒に持ってくることも多々あるため,それも研究室の運営の大きな一助となっているようですが,これは少なくとも現在の日本で真似ることは難しいと思います.
3.その他
(将来における本学と派遣先機関との教育連携の可能性など)
今後も共同研究を続ける予定のため,何らかの形で関わりを持ち続けることは可能であると思います.私の個人的な予算が許せば,この夏にもまた訪問することを考えています.