令和5年度海外教育連携教員派遣報告
坪田 康 准教授 (イギリス?ケンブリッジ大学、台湾?国立清華大学)

所属 基盤科学系 准教授
氏名 坪田 康
期間 令和5年10月16日-令和6年3月20日
滞在先 ケンブリッジ大学(イギリス)、国立清華大学(台湾)

 2023年10月16日から12月20日まで英国のケンブリッジ大学に滞在し、12月21日から3月20日まで国立清華大学に滞在しました。ケンブリッジではModern and Medieval Languages and LinguisticsのFacultyに所属し、言語学の授業に参加しました。最新の知見を取り入れた「Language, Brain and Society」や「Computational Linguistics」などの授業に参加しましたが、これらはインタラクティブな進行やスライドを用いた講義が主で、学生たちはPCを活用してメモを取っていました。「Linguistic Theory」の授業では、最新の論文をグループごとに読み、発表?ディスカッションする形式が取られており、教員のファシリテーションによって学生同士の深い議論が促され、質の高い授業が展開されていました。1コマ60分、3学期制、Collegiate Systemなど、日本とは異なるシステムも多いですが、自学自習を基調とした学習環境と積極的に学ぶ学生たちによって、その質が担保されていることが伺えました。Moodleを活用した授業スタイル、学科ごとに整備されたReading List、少人数指導システム、図書館の自習スペースなどは非常に参考になりました。

 Cambridgeはロンドンの北、約80㎞ぐらいにあるアクセスのよい都市です。都市には中世の建築が多く残っており、学生たちが寄宿するカレッジや、美しい庭園、歴史的な教会が街のあちこちにあります。パブもいたるところにあり、伝統的な英国料理やビールを楽しむこともできます。とくに有名なのがイーグルパブで、そこでジェームス?ワトソンとフランシス?クリックがDNAの螺旋構造を発見したと言われています。街は観光客でにぎわっており、お芝居や自作の詩の朗読会など、常に何かしらのイベントが開催されています。大学内でも、著名な教授による量子力学やエントロピーの特別講義、各種の音楽イベントなどさまざまな催し物が開催されていました。自転車で移動できるぐらいの大きさの都市なので、滞在時には自転車を利用して、あちこち巡ってみると知的刺激に満ちた時間を過ごせると思います。

 国立清華大学ではDepartment of English Instructionに所属し、大学院の授業でトークを行いました。受講者は台湾で英語教員を目指す学生や留学生が主でしたが、トーク後の質疑応答で本質的な議論ができ、非常に有意義でした。また、所属するDepartment of English Instructionのほか、EMI Center、NLP labと共催で、EMI(English as a Medium of Instruction)をメインテーマとした研究会を実施しました。台湾ではBilingual Policy 2030が政策として推進されており、高等教育ではEMIが積極的に取りいれられています。研究会では、国立清華大学からEMIのほか、高校でのSTEAM実践についても報告がありました。台湾の教育現状について学ぶことができ、非常に有意義な時間でした。

 国立清華大学のある新竹は台湾のシリコンバレーと呼ばれているところで、さまざまな海外企業が拠点を置く都市です。台湾の首都である台北にも高速バスで1時間ほどで行くことができますし、台湾の新幹線とでもいうべきTHSR (Taiwan High Speed Rail)の駅もあり、アクセスがよいところです。大学は市街から少し離れたところにあり、落ち着いた環境で学ぶことができます。台湾には日本人の口に合う料理がたくさんあります。大学内外にさまざまな食堂がありますし、週に何回かは近隣で夜市が催されます。小籠包、水餃子、蚵仔煎(牡蠣入りのオムレツ)などを夜市で買って食べたりするのが楽しかったです。物価も比較的安く、気候も温暖で、快適に過ごしやすい場所だと思います。

 最後に研究面に関しても少し書きたいと思います。現地でそれぞれの大学の教員と共同で研究を進め、さまざまな議論を行いました。英語での議論の進め方なども学ぶことができ、とても参考になりました。双方の大学の教員が研究協力者として参加する科研プロジェクトも採択されました。今後も共同研究を精力的に進めていきたいと思います。


Cambridge

左上:Wolfson College内の庭園、右上:若き日のCharles Darwinの像 (Christ College)
左下:Wren Library (Trinity College)、右下:Mathematical Bridge (Queens’ College)


清華大学

国立清華大学 南大キャンパスの正門にて(受け入れ教員の黄漢君先生と)

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