所属 | 機械工学系 |
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氏名?職名 | 北川石英 准教授 |
専門分野 | 熱流体工学 |
期間 | 平成27年4月1日-12月25日 |
滞在先 | ウォーリック大学 |
ウォーリック大学は,英国ウェスト?ミッドランズ州のコヴェントリー市にあり,コヴェントリー駅からバスで約30分のところにメインキャンパスを構える.この大学は1965年に設立され,英国での大規模研究型大学により構成される「ラッセル?グループ」に属している.他の大学に比して歴史が浅いものの,英国における大学ランキングでは常にトップ10内に位置しており,2014/15年での英国「University of the Year」に輝いている.学部には”Faculty of Arts”,”Faculty of Medicine”,”Faculty of Science”,”Faculty of Social Sciences”がある.総学生数は23,570名であり,そのうち学部生が13,049名,大学院生が10,521名(修士課程:9,317名,博士課程:1,204名)である.
White Koan:ウォーリック大学にあるモダンアートの1つ(昼間:左,夜間:右) |
ウォーリック大学では,3学期制(1学期:10月初~12月中旬,2学期:1月上旬~3月下旬,3学期:4月中旬~7月初)をとっており,3学期のみに試験が実施される.このため,3学期の前半では,1?2学期の講義内容の復習が重点的に行われる.しかし,学生は1学期に履修した講義内容を半年間程度記憶し,試験に望まなければならない.この制度に対しては,学生の勉学に対する負担が大きいとの意見もあるが,多くの学生はアルバイト等をせずに熱心に試験勉強に取り組むため,留年率は極めて低い.なお,彼らが学問に集中できる環境にある理由は,ほぼ全ての学生が英国政府から”student loan”(卒業後,長期間にわたり返済の必要有)を得ており,その利用により,授業料や生活費をカバーできるためである.
ウォーリック大学では,講義時間が60分間と短いことがトリガーの1つとなり,受講学生の集中力は極めて高い.また,いずれの講義においても,講義中,積極的に質問を行う学生が多い.そのような学生の中には,自分の意見を講義担当者だけでなく他の学生にも投げかける学生がいるため,たとえ講義中であっても学生間の意見交換が活発に行われる.一方,講義担当者は多くの質問があるにもかかわらず,その1つ1つに丁寧に回答するように努める.これらは相乗効果として,講義のクオリティの向上につながっており,私はこのことに深い感銘を受けた.
私が所属する”School of Engineering”(前述の”Faculty of Science”に属する)では,学部における留学生の割合が35 %程度,大学院におけるその割合が20 %程度である.特に,中国からの留学生が非常に多く在籍している.一方,日本からの留学生は極めて少なく,大学全体でも10名程度である(交換留学生を含めない).英国への留学の理由は「英語能力の向上」や「英国文化の理解」など様々であるが,学部が3年間,大学院が1年間という日本の大学に比して短期間で学位を取得できる制度は,学生が英国の大学へ留学する1つの大きな要因となっている.なお,私が滞在中に知り合った欧州からの留学生の多くは,頻繁な帰国を希望している.欧州と日本との位置関係を鑑みれば,残念ながらこれは,日本への留学の妨げに他ならない.
言語が異なることを除けば,英国での生活は日本での生活と大きく違わない.私は無類のカレー好きであるが,英国でも週に3回程度はカレーを食することができている.インド料理店はどの地域においても非常に多い.ただし,私が未だ順応できないことが2つある.1つは”天候”である.雨の日が多く,風が強い.特に,買い物に出かける場合には苦労を強いられる.もう1つは”マスク”である.こちらでは風邪の予防や拡散防止に対して,マスクを使用する習慣がない.このため,特に冬場は風邪をこじらせる学生や研究者が多く,彼らが咳き込む度に「1日も早いマスクの普及を!」と願っている.
今回の英国滞在に対しまして,スーパーグローバル大学創成支援事業,萩原良道教授および,機械工学系の先生方に深く感謝致します.また,私の受入教員であるFluid Dynamics LabのPetr Denissenko准教授,そして,私の心強いチューターであるBiomedical/Biological Systems LabのFelicity Kendrickさん(PhD student)に心より感謝致します.
私(左)とPetr Denissenko准教授(右) | 私(左)とFelicity Kendrickさん(右) |