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うごき(身体運動)とことば(言語的表現)の関係を、実験や調査に基づいて多角的な観点から実証的な研究を推進しました。
?うごきに関わる検討:「スポーツ科学」「リハビリテーション科学」「身体運動学」
?ことばに関わる検討:「認知言語学」「語用論」
?その橋渡しとして:「心理学」「発達科学」
リハビリテーション場面の歩行動作観察において、感性的表現(オノマトペ)を用いた評価法を検討しました。その後、非医療従事者に患者の歩行動作を観察させ、自由記述による感性的表現を収集しました。医療従事者用に開発された歩行異常性尺度との関係を重回帰分析により検討し、その結果、両者に有意な関係が認められました。
実験1
成人71名を対象に、15種類の言語的指示表現(「大きくジャンプ」「高くジャンプ」など)を用いて、1人あたり15種類×5回その場でジャンプしてもらいました。75回×71人=5325回のジャンプ動作をマーカレスモーションキャプチャで捉えました(全身25箇所、30fps)。
「天井に触れるようにジャンプ」の表現は、腕を高く上げようとする意識につながり、結果的に跳躍高を高める効果を確認しました。「膝を深く曲げてからジャンプ」など身体部位を明示した動作指示は、特定の部位に意識が集中し、腕振りなど他への意識が疎かになり、また、膝屈伸の切り返しが遅くなり、運動パフォーマンスを低下させる可能性を確認しました。この成果は原著論文として、日本感性工学会論文誌に掲載されました。
実験2
成人18名を対象に、1人あたり45種類の言語的指示表現を用いました。各表現に対して、(1)ジャンプ前に表現の理解のしやすさ、(2)運動イメージのしやすさ、(3)ジャンプ後に跳びやすさを評価しました。
「ドスン」「ストン」など(感性的表現)は理解しにくいがやってみたらできた!と評価される指示のことばでした。一方、「ちゃんと」「せーの!」などは理解しやすいがやってみたら、思ったほどできなかったと評価される指示のことばでした。表現には「叙述のことば」と「指示のことば」があり、スポーツや医療など言語を用いた動作指示の場面では、「指示のことば」に関する認知言語学的知見をより深める必要性を示唆しました。
学内の異領域複数教員連携(スポーツ×言語)、国内複数大学の研究者との連携(工繊大×滋賀医大×桜美林大×北海道教育大)、近隣の大学院生(京大)や多職種(理学療法士×作業療法士×保育士×ダンサー)を巻き込んだ共同研究に発展し、本研究テーマにおいて多領域が参画するプラットフォーム(研究フィールド)を構築し、研究ハブ機能を担いつつあります。
論文
?大桐将、来田宣幸他、リハビリテーション患者の歩行観察における印象評価と動作評価、日本感性工学会論文誌、16(1):181-187、2017
?北尾浩和、来田宣幸、深田智、中本隆幸、小島隆次、萩原広道、野村照夫、言語的な動作指示の違いがパフォーマンスに及ぼす影響、日本感性工学会論文誌、17(1):257-265、2018
プロシーディング
?深田智、来田宣幸、小島隆次、萩原広道、ジャンプ動作の指示とパフォーマンス:言葉と動きの関係を探る、日本認知科学会第34回大会論文集、275-283、2017
招待講演?招待シンポジスト
?権野めぐみ、クラシックバレエの姿勢および動作における指示語のわかりやすさ、第4回スポーツ言語学会シンポジウム
?深田智、うごきとことば、第4回スポーツ言語学会招待講演
?来田宣幸、ことばとうごき、関西理学療法学会特別講演会
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