材料化学系 湯村尚史 教授らの研究グループは、人工知能を用いて量子化学計算の高速化を実現しました

 材料化学系 湯村尚史教授らの研究グループは、人工知能を用いて量子化学計算(※1)を用いたホスト-ゲスト構造の最適化の高速化に成功しました。これは、本学と会津大学の包括協定による共同研究の成果によるものです。
 現在、材料創製において量子化学計算は材料のスクリーニングや物性予測のための不可欠なツールになっています。例えば、カーボンナノチューブなどの低次元ホスト材料の空間に様々なゲスト分子を取り込むことにより構築されるホスト-ゲスト材料は、新規機能が発現する可能性を秘めています。低次元ホスト材料やゲスト分子の組み合わせは多様であるため、多数の新規機能性材料が構築される可能性がありますが、これをすべてスクリーニングしようとすると時間や計算コストが膨大になり、量子化学計算が不可能となります。本研究では、粒子群最適化を用いホスト-ゲストの最安定構造を予測することに成功し、それを用いた量子化学計算を行うことにより高速スクリーニングが可能となりました。この高速化は、ホスト-ゲスト材料を用いた機能性材料の新規創製に向けた作業効率を大幅に向上させるものであり、社会的インパクトが高いものです。

 

本研究の概略図:Particle Swarm Optimizationを用いたホスト-ゲスト材料の構造決定

 

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本成果は、2024年6月13日付けで国際学術誌「The Journal of Physical Chemistry A」オンライン版(外部リンク)に掲載されました。

用語解説
注1)量子化学計算(quantum chemistry calculation)
ある材料の構造における基底状態の波動関数を系のハミルトニアンに作用させるとエネルギーと波動関数が求められるというシュレーディンガー方程式に基づく計算方法。