繊維学系 石井佑弥 准教授らの研究グループは、循環型材料からなる電界紡糸超極細繊維膜の帯電特性を解明し応用例を開発しました

 大学院工芸科学研究科 博士後期課程(先端ファイブロ科学専攻)の高垣賢一さんと繊維学系 石井佑弥 准教授らの研究グループは、バイオマスから製造可能であり生分解性を示すプラスチックであるポリ(L-乳酸)(PLLA)からなる電界紡糸(注1)サブマイクロファイバ(注2)膜が、主に正負両極性の真電荷(注3)で帯電したエレクトレット(注4)であり、このため優れた疑似圧電特性(注5)も示すことを世界に先駆けて明らかにしました。加えて、当該ファイバ膜の帯電特性を詳細に調査することにより、当該ファイバ膜内部の帯電電荷の分布のモデルと、当該ファイバ膜に電極を近づけたり押し込んだりしたときの発電電荷量の数理モデルを世界に先駆けて提案しました。またこの帯電電荷が、低湿度環境下で保管した場合には、約8ヶ月経過しても安定して保持されていることも明らかにしました。最後に、当該電界紡糸PLLAサブマイクロファイバ膜と循環型の材料を用いて、大部分が循環型の材料からなる無給電動作可能なタッチセンサとマスク型音響センサを新規開発しました。特に当該マスク型音響センサでは、信号増幅回路などの増幅回路を用いることなく、市販のタブレットと音声認識ソフトで発話の文字化に成功しました。これらの成果は、上述のような特殊なエレクトレットであり、そのうえ超軽量かつ超軟質で優れた通気性を有するユニークな当該ファイバ膜のより詳細な理解と今後の発展に大いに寄与するのみならず、当該ファイバ膜を用いた環境にやさしい循環型の新しいセンサ群の創出に貢献します。

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本研究成果は、2024年4月8日付けで「Advanced Energy and Sustainability Research」オンライン版(外部リンク)に掲載されました。

用語解説
(注1) 電界紡糸:プラスチックの溶液もしくは溶融体を高電圧で帯電させ、静電引力により極細繊維を紡糸する方法

(注2) サブマイクロファイバ:直径が0.1 μm以上であり1.0 μm未満の繊維状物質

(注3) 真電荷:外部に取り出したり外部から加えたりすることができる電荷(対立概念は分極電荷)

(注4) エレクトレット:半永久的に電荷を保持する材料

(注5) 疑似圧電特性:圧電材料の圧電特性に酷似した特性
圧電:本資料では、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)や圧電樹脂などの圧電材料の結晶体に生じる正圧電効果と逆圧電効果を総じて圧電と表現している
正圧電効果:圧電材料の結晶体に圧力を加えるとひずみが生じて電圧が発生する現象
逆圧電効果:圧電材料の結晶体に電場を加えると,ひずみが生じて変形する現象