繊維学系 谷口育雄教授らの研究グループは、深海から得た発想を基に、化学者の創意工夫によって革新的な化学を生み出す「深海インスパイヤード化学」のコンセプトを発表しました。
地球表面の約70%を占める海洋の利活用は、地球と共生する持続可能な社会を実現する鍵です。従来のリニアエコノミー(線形経済)のパラダイムの下での海洋利用は「水産資源」や「エネルギー資源」といった「モノ」の利用が中心でした。しかしながら持続可能なサーキュラーエコノミー(循環型経済)のパラダイムの下では、単なる「モノ」の利用の枠を超えた海の利用が求められます。「深海インスパイヤード化学」は、深海極限環境下でのユニークな物理化学プロセスや生物が深海に適応する過程で獲得した固有の生存戦略を活用した深海利用の知識経済化の提案であり、カーボンニュートラル実現に向けたソリューション開発への貢献が期待されます。
本研究は、JST戦略的創造研究推進事業CREST「バロポリエステル:圧力による精密分解制御(課題番号:JPMJCR21L4)」、JST研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) ステージⅡ シーズ育成タイプ「深海極限環境に発想を得た高温?高圧技術による天然食品素材の高付加価値化(課題番号:JPMJTR164B)」、科研費「基盤研究(C)(課題番号:JP20K05633)」の支援により実施されました。
本論文はアメリカ化学会が発行する学術誌「Langmuir」からの招待を受けて執筆され、2023年6月2日付(現地時間)にオンライン(外部サイト)掲載されました。また「深海インスパイヤード化学」のコンセプトを表現したイラストが掲載号の表紙に選ばれました。
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