平成29年度海外教育連携教員派遣報告
麻生 祐司 准教授 (アリゾナ州立大学)

所属 繊維学系
氏名 麻生 祐司 准教授
期間 平成29年4月1日~平成30年3月31日
滞在先 アリゾナ州立大学(アメリカ)

平成29年4月から1年間、米国アリゾナ州立大学(Arizona State University, ASU)のDavid R. Nielsen准教授の研究室に滞在予定です。ASUでの所属先はIra A. Fulton Schools of EngineeringのSchool for Engineering of Matter, Transport, & Energyです。受入教員のDavid R. Nielsen准教授は私と同じく若手研究者であり、微生物を用いた有用物質の生産について研究しています。私はここで幾つかの講義に参加し米国の大学教育を学ぶとともに、微生物を用いた高分子原料の生産に関する実験に取り組んでいます。訪問してちょうど半年が経ちました。ASUの紹介と近況報告をしたいと思います。

ASUのメインキャンパスは、アリゾナ州の州都フェニックスの近郊にあるテンピという街にあります。私の所属する研究室もテンピキャンパスにあります。アリゾナ州は砂漠気候で、巨大なサボテンが街のシンボルになっています。先日まで日中の気温が40℃を超える日も珍しくありませんでしたが、湿度は10%以下と低くとても乾燥しており過ごしやすいです。街の至る所に醸造所があるので、ビール好きの私にとっては最高の場所となっています。フェニックスは米国で6番目に大きな都市で、ダウンタウンには近代的な建物が立ち並びます。テンピは学生の街となっており若者の活気に溢れています。ASUは文系?理系合わせて20近くの教育組織から構成される総合大学です。ASUにはテンピキャンパスだけで約52,000人、他の4つのキャンパスと合わせると約72,000人もの学部生?大学院生が在籍しており、全米屈指のマンモス校となっています。学生のおよそ1割が留学生で、約110ヵ国の国々から留学に訪れています。日本人は稀に見る程度で、中国やインドからの留学生が多くを占めているように感じます。2016~2018年版のU.S. News & World Reportで、ASUはスタンフォード大学やMITを差し置いて全米で最もイノベーションに優れた大学に選ばれました。競争の激しい米国の大学の中で独自のポジションを確立し抜きん出ようと努力している雰囲気がキャンパス全体で感じ取れます。この点は国際化を図っている京都工芸繊維大学も見習う部分が多いと思います。キャンパスはとても広く、ゴルフ場やスタジアムも含めるとテンピの街の大部分をASUのキャンパスが占めます。新学期が始まった今は、自転車やスケートボードで広いキャンパス内を移動する学生でいっぱいです。キャンパスには学生支援のためのオフィスや図書館、カフェ、ジムなどの施設が整備されており、学生は充実したキャンパスライフを過ごしています。ASUのフットボールチームSun Devilsの試合日には街を挙げて皆で応援します。ASUはテンピの人々にとっての誇りであり、市民に愛される大学となっています。

これまでに幾つかの講義に参加し米国の大学教育について学ぶことができました。教員は講義にあたり、目標と採点基準を明確に学生に示します。学生はとても主体的でプレゼンテーション能力が高く、授業中でも教員に溢れるように質問をします。日本では難しいインタラクティブな講義を展開することができている点は学ぶことが多いです。また、学生はグループで頻繁に勉強会を開き、テスト対策や資料作成などを行っています。学生の主体性がどのように生まれ、教員がどのようにサポートしているのかについて滞在中に学んでおきたいと思います。一方、研究室での実験も本格的になってきました。初めての研究室、しかも文化の異なる海外で実験することはとても大変です。毎日、研究室の学生たちと実験方法や結果についてディスカッションしながら過ごしています。学生たちとの日々のコミュニケーションは英語による教育力の向上にとても役立っています。また、研究室で過ごす過程で、学生がどのように論文を仕上げ、教員がどのように研究指導しているのかを間近で見ることができます。英語での学生への研究指導の方法を滞在中に学んでおきたいと思います。

旅行は文化を理解する良い機会になります。先日の連休にはニューヨークに遊びに行きました。名所を巡り、米国の都市文化を知ることができました。アリゾナ州も秋を迎える季節となりこれから涼しくなっていきます。過ごしやすくなるので、グランドキャニオンやセドナなどにも出掛け、西部開拓時代の文化の残るアリゾナ州についてもっと理解を深めたいと思います。

最後になりましたが、本派遣事業にあたりご支援ご協力頂いた京都工芸繊維大学の皆様にお礼申し上げます。帰国後は米国で学んだ大学教育や文化を京都工芸繊維大学での教育活動に役立てたいと思います。


ASUのモニュメント

ASUのモニュメント


テンペキャンパス

テンペキャンパス


所属する研究棟

所属する研究棟


研究室での様子

研究室での様子